2022年の新たな門出について

Fumi
14 min readAug 4, 2022

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7 月から新しいチャレンジに挑戦することにしたので、遅ればせながらお知らせです。

4 年半勤めた Niantic を退職し、一年ほど「インプットの年」にすることにしました。

ありがとうございました!

退職してしまいましたが、今も Niantic は大好きですし、超円満退職です :) 今も現役・退職した Niantic 社員とも仲良く、毎日のように色々なことを情報交換しています。ただ、後述するようなNianticの現状と自分の今後の人生のあり方を考え、個人としては人生の次のフェーズに進むことにしました。Nianticの皆さん、本当に今までありがとうございました!(あまりにたくさんの方にお世話になったのでブログには一人ひとり書かず直接お伝えしました。。。!)

この4年半、Nianticのサービスを愛し、楽しんでくださった Ingress エージェントの皆さん、Pokémon GO トレーナーの皆さん、ハリー・ポッター:魔法同盟の魔法使い・魔女の皆さん、Pikmin Bloom ユーザーの皆さん、Niantic Lightship ARDK を使ってくださった開発者の皆さん、そして Catan World Explorers や Transformer Heavy Metal、Peridot等の実験的なプロジェクトにベータテスターとして参加し、たくさんのフィードバックをくださった皆さん、ありがとうございました!これからも Niantic をどうぞよろしくお願いします。

株式会社ポケモンの皆さんにはこの4年半、ほぼ毎日(時には朝から晩まで)お世話になってきました。皆様から学ばせていただいたこと、助けていただいたことははかりしれません。本当にありがとうございました。

そして短い間となってしまいましたがハリー・ポッター:魔法同盟、Pikmin Bloom、Transformer Heavy Metalの各タイトルのマーケティングでお世話になったワーナーブラザーズジャパン、任天堂、タカラトミーの皆様も本当にありがとうございました。

そして札幌市・横須賀市・横浜市・岩手県・静岡県をはじめ、全国の自治体の皆さんにも大変お世話になりました。本当にありがとうございました。

そしてNianticを支え続けてくださったパートナーの皆様も本当にありがとうございました!

やめる一番の理由は素晴らしいチームが育ったこと

4 年半前に Niantic に私が入社した頃は、Niantic は本当に小さな会社で人も少なく、私はすべてのタイトルのアジアでのマーケティング・コミュニケーション( Ingress の Google+ やポケモン GOの日本語・中国語繁体字・韓国語のブログ・Twitter・Facebook・プッシュ通知・ニュースレター・メール・アプリ内ニュース)からアジア各地でのイベント(Ingress のアノマリーやアジア各地での Pokémon GO Safari Zone や日本での Pokémon GO Fest)、そしてハリー・ポッター:魔法同盟を始めとする新しいタイトルのローンチマーケティング、自治体対応(ポケモンGO周遊マップの運営や監修やイベント等)、企業や自治体とのコラボ案件などを担当し、何もかも自分で企画してエクセキューションまでおこなっている状況でした。

あれから4 年半。Niantic は大きく成長しました。私が担当していた APAC マーケティングチームもどんどん人を採用してチームを大きくし、ソーシャルメディア担当、プロダクトマーケティング担当、マーケティングコミュニケーション担当、イベント担当、パフォーマンスマーケティング担当、コミュニティ・マネージャ。。。等の専門分野をもった担当者をどんどん採用し、彼らが活躍するような体制になっていきました。こうした組織化への転換ができたのも、当時 APAC マーケティングのシニアディレクターとしてジョインしてくださった Ray(足立光)さんのおかげです。Ray さん、ありがとうございました。小さいスタートアップが会社や組織を大きくスケールさせていくところはみんな苦労するところだと思います。実際、一日が24時間では足りないレベルで仕事をしている時に更に大規模な採用活動をしていくのはとても大変で(私も自分達のチーム以外にも広報やカスタマーサポート、ARチーム、海外の各マーケティングチーム等多くのファンクションの採用活動を手伝っていました)Niantic という会社はそこを乗り越えてこの4年半で本当に大きな素晴らしい会社に成長しました。そこをど真ん中で体験できたことは本当に貴重な経験でした。

2年前に Ray さんが退職する前に私に「透明」という漢字二文字が書かれた紙を手渡しました。マネジメントをすべき人が声大きく発言してしまうと部下がしゃべれない。マネジメントをすべき人が手を動かしてしまうと、部下が経験・成長する機会を奪ってしまう。「ふみさんは透明になりなさい」。この「透明」の紙は今も大切にとってあります。そしてこの2年は自分の透明化とチームの成功の最大化を考えるようになり、私が卒業しても大丈夫な、素晴らしいチームに成長してくれました。APAC マーケティングチームの皆さん、ありがとうございました!皆さんに託して、安心して卒業します。そして、私より先に辞めてしまったけど Kento(須賀健人)さんもありがとうございました。

Niantic での思い出

この 4 年半、大変だった思い出や楽しかった思い出がたくさん詰まりすぎていて、とてもとても書ききれるものではありませんが、この場ではほんの少しだけ。ずっと忙しくてブログを書く暇がなかったけれどこれからは時間ができるので、(NDAがあるのでもちろん公開情報に基づいて)いずれまとめを書いてみようかなと思いますが、取り急ぎ。

Niantic入社は2018年2月。誘っていただいたMasa(川島優志)さん、本当にありがとうございました。素晴らしい時期に入社し、Nianticが急成長するところをご一緒させていただくことができました。毎日がジェットコースターみたいで楽しかったです!

入社5日目に今や伝説となったミニリュウのコミュニティデイ開催。この時は本当に大変でした。入社5日目にして駆けずり回り、Niantic に入社して初めての postmortem を作りました。

Ingress で最初のイベントは 4 月に開催した福岡 XM Festival。Ingressの世界が新しいユニバースに突入するという(Ingress的には)世紀の瞬間でした。

XM FestivalでAgent Olympiadの開催をアナウンスしたところ、前回出演されたエージェントの皆さんが「参加者側から見た改善案を伝えたい」と申し出てくださって、フィードバックの会合を開き、それらのアドバイスを元に「応援団」が編成されたり、改善案を実行。それ以降もたくさんのIngress エージェントの皆さんがゲームやイベントをよくするためアドバイスをくださったり、Mission Day や First Saturday 等のエージェント主導のイベントを開催してくださったり、一緒に盛り上げてくださいました。Vanguard の皆さんや XM Ambassador の皆さんをはじめ、エージェントの皆さん、本当にありがとうございました。そして AO に関して大きくご尽力くださったドワンゴの皆様、特に高桑さんありがとうございました。

Agent Olympiad って何?という方はファミ通さんの記事もご覧ください。そしてこの4年半、Niantic に関するたくさんの記事を書いてくださった深津さんや榎本さん、ittousai さんなど、挙げ始めたらきりがないたくさんのプレスの皆さんにも御礼申し上げます。

また、Pokémon GO や ハリー・ポッター魔法同盟のコンテンツクリエイターの皆様にも、ユーザーの皆様にもっと楽しんで頂けるような YouTube 動画やブログなどのたくさんのコンテンツを作って盛り上げていただきました。ありがとうございました。特にやまだちゃんねるのやまださんと Yurigames のゆりさんには大変お世話になりました。

私が手掛けた Pokémon GO で最初のイベントは同じく 4 月に開催したアースデイの清掃イベント。このときご協力頂いたゴミ拾いの NPO のグリーンバードさんにはその後も何度も何度もお世話になりました。ありがとうございました。実はこのとき、参加してくださる NPO を探してあちこちコンタクトしていたときに、(IT Mediaさんの記事にも出ていますが)江ノ島の NGO の「海さくら」さんからは「江の島は、Pokémon GO のローンチ直後にレアポケモンが出現する地として有名になり、大変だった。現地ではPokémon GO に対して厳しい意見も多い」と教えていただいていました。ただ、「この清掃活動を通じて、江ノ島の人たちの Pokémon GO を見る目が変わるといいですね」とも仰って頂きました。そのためにはプレイヤーの皆さんが真剣に清掃活動を行い、江ノ島をきれいにして帰る必要があります。軍手をして、ゴミ袋を片手にトングをもう片手に持っている状態でゲームができるわけがありません。こうして「Pokémon GO を全くプレイしない Pokémon GO ゴミ拾いイベント」は生まれました。「普段、ゴミ拾いのイベントを呼びかけてもあまり人が集まらないけれど、Pokémon GOのコミュニティに呼びかけていただいたら応募が殺到して、すぐに締め切ることに」と。よいきっかけになり、よかったです。。。そして、当日は皆さん本当に和気あいあいと、まじめに、清掃活動に勤しんでくださいました。ありがとうございました!もともと4月21日に新潟で予定が入っていたため、土曜日の朝は江ノ島に行って Pokémon GO の清掃イベントに参加し、午後新潟に移動して用事を済ませて翌日早朝新潟から東京に戻って代々木で日曜開催のアースデイ本部の Pokémon GO の清掃イベントに参加というハードスケジュールだったのも今となってはいい思い出です。

Pokémon GO のイベントというのはありがたいことに非常にたくさんのトレーナーの皆さんが楽しんでくださいます。初めて海外で参加したPokémon GO のイベントは 2018 年 6 月に開催したドイツのドルトムントの Safari Zone を手伝いに行ったときで、ネットワークが逼迫して大変な思いをしました。それを教訓に、アジアで Pokémon GO のイベントを開催するときにはネットワークキャリアさんと密にコミュニケーションを重ね、トレーナーの皆さんが楽しくプレイできるようご協力頂いてきました。中でもソフトバンク、NTTドコモと kddi 各社の皆様には厚く御礼申し上げます。

初めて自分が企画・運営した Pokémon GO の大規模イベントが 2018 年 8 月の Pokémon GO Safari Zone in Yokosuka。これは横須賀市さんに主催に立って頂き開催したのですが、非常に大きな特徴と言えるのが、街全体を Pokémon GO のお祭り色に染めてくださったこと。駅を降りると Pokémon GO の音楽が流れ、商店街でも Pokémon GO の音楽が流れ、商店街で買い物・食事をするとピカチュウサンバイザーと Pokémon GO の特製ステッカーがもらえるので、たくさん人が来てくれてお店も嬉しい。プレゼントがもらえるのでトレーナーも嬉しい。スペシャルリサーチを三笠公園とヴェルニー公園の両方に行かないと完結できないようにし、その間にある「どぶ板商店街」も楽しんでもらいつつ、Pokémon GO のローディングスクリーンがギフトでもらえる特別なポケストップを追いかけていくともう一方の公園にたどり着くという仕組みにしました。(くりはまは一つの公園で完結)。公園の中だけではなく、せっかく訪れたその街も楽しんで頂くというこの仕組は、2022 年 8 月に開催する Pokémon GO Fest Sapporo の設計にも生かされています。

その後担当したイベント全てについて書き始めるとものすごく長いブログになってしまうので、思い出のイベントの動画をいくつか貼っておきます。

ポケモン社さん主催の「ピカチュウ大量発生チュウ」に合わせて開催したPokémon GO Fest Yokohama 2019。こちらも本当に盛りだくさんでした。。。!

2019年にシンガポールで開催した Pokémon GO Safari Zone at Sentosa。それまではアジアでは日本・台湾・韓国でしかリアルイベントをやっていなかったのですが、もっとたくさんの国のトレーナーさんに楽しんでいただきたいと初めて東南アジアで開催しました。セントーサ側の多大な協力もあって、現実の美しいビーチや木々、装飾のポケモンたちと Pokémon GO で現れるポケモン達が本当にみんなそこにいるような、ポケモンワンダーランドのような場を作ることができました。個人的には、ゲームデザイナーやPMなどが現地に来ないイベントになったため、自分で色々なイベントの設定を動かすことになり、とても勉強になった思い出のイベントです。

2020 年には世界的にコロナ禍が始まり、「Adventures on foot with others」ができない世の中に合わせて、全社で一丸となって、死にものぐるいで各サービスをこの社会情勢でも楽しく遊んでいただけるよう、調整していきました。「ステイホーム」の世の中では、会社の3つの柱である「探検」「エクササイズ」「リアルワールドソーシャル」がどれも厳しい中、難しい局面を乗り切りました。Niantic社員の皆さんの底力が発揮された場だったと思います。本当に皆さん、お疲れさまでした。

「Niantic はゲームを作ってはいるけれど、ゲーム会社ではない」と私はよく言っていたのですが、ゲームではなく「ARテクノロジー」の会社としての大事な柱である Niantic Lightship Platformと、開発者の皆さんがそのプラットフォームを使えるようにする開発者キット「Lightship ARDK」。これを正式にローンチでき、今年はその鍵となる VPS もローンチすることができました。これも Niantic にとっては大きな一歩だったと思います。

この素晴らしい4年半を率いてくださった社長の John Hanke とSetsuto(村井説人)さんにも大変感謝しています。Thank you John!!今後もNianticの1ファンに戻って、イベント等も参加者として楽しんでいきたいと思います。

初心にかえって:2014 年に Ingress 石巻アノマリーで John と撮ってもらったツーショット。

今後は?

2010 年に Google に入社し、2018年に Niantic に転職してから 12 年間休みなく働き、サービスのローンチやイベントの開催など、アウトプットアウトプットアウトプットを続けてきたこと自体はよかったのですが、なにぶん働きづめだったため、仕事以外の文脈で「新しい人に会う」「新しい場所を訪れる」「新しい実験をしてみる」「新しいことを学ぶ」など、インプットの時間が全くなくなっていることに気づきました。今後の1年間はそうしたインプットに時間を使っていこうと考えております。(新型コロナがまた増えてしまっているので、状況を見ながら。。。)そして今後の余生を何に使ったらもっと世の中の役に立てるのか、冷静に考えます。

実は退職届を出したのは4月で、5月に引き継ぎ、6月は有給消化に入っていたため、退職前から新しい生活の実験は少しずつ始めていました。そこで経験したことも含め、いずれブログで共有できることは共有していきたいと考えております。

会いに行くべき面白い人、訪れたら面白い場所やインスピレーションを受けられそうな会社、参加したら面白い実験プロジェクト、社会に素晴らしい貢献をしている組織やNPOなどアドバイスがある方はぜひ教えて下さい!

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Written by Fumi

Currently explorer. Ex-Niantic, ex-Google, ex-NTT, ex-Interscope, ex-Technorati and ex-Digital Garage.

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