コロナ関連、定点観測メモ。
Johns Hopkins Covid-19 dashboardによると累計感染者数が5億人、死者数が600万人を超えました。韓国の人口が5000万人ぐらいしかいないのに過去一ヶ月の感染者数500万人、人口の10人に一人が過去一ヶ月に感染したことになります。
アメリカ
アメリカの新規感染者数は1月にオミクロン株の影響で一日80万人とピークを迎え、現在は落ちている。
死者数のピークは2021年の1月がピークで一日3000人を超える死者を出していた。
ワクチン接種は実はまだ2/3しか2回打ってない。
25年分見るとアメリカのGDPの美しい右肩上がり。コロナで2020年に落ちたけどキャッチアップ傾向。
失業率の2020年の上がり方は世界トップクラス、ただしこのときの失業手当のパッケージが手厚すぎて働くより失業した方が実入りがいいみたいな話も聞きました。今は完全にコロナ前の水準に戻ってますね。
日本
新規感染者数は今年の2月の9万超え。オリンピックの時期に大騒ぎになったけど実は今年の2月の方が断然多い。
死者数も今年の2月の250人ぐらいがピーク。つまり、アメリカでの死者のピークは去年、日本では今年の2月だった。
ワクチン接種、現在は2回以上打っている人が8割超え。アメリカよりもだいぶ高い。
ちなみにこれが2021年3月現在のワクチン接種率世界ランキング。日本が0.46%と絶望的に遅い。イスラエルがぶっちぎりで早くて有名になっていた頃です。
これが2021年10月。この時点で日本はアメリカやイギリスを抜いていた。始めちゃえば一気にできるのが日本のすごかったところ。なお、UAEの94%が驚異的だなあと思っていた。そしてアフリカ諸国が10%いってない。
そして今日。上位がUAE、キューバ、チリ、シンガポール、中国、と上からのお達しが通りやすい国。自由の国アメリカなんかはワクチンを打たない権利を主張する人たちもいるので伸び悩む。
25年分で見る日本のGDPはコロナ前から低迷していたところにコロナショック。ただ、規模でいうと1991年のバブル崩壊・2000から2002年のリーマンショック・ITバブル崩壊・平成不況、2011年の東日本大震災から2015年のチャイナ・ショックの方が大きかった。アメリカの右肩上がりと比べてなんとbumpyなことか。
日本の失業率はコロナでもちろんあがったものの25年単位で見ると低水準でとどまっている。給付金もあったしね。
台湾
コロナ対策で最もうまく立ち回ったと言われている台湾。そもそもSARSの経験があるので、政府も国民もパンデミック対策が他の国に比べて身についていたということがあるでしょう。
実は今回のパンデミックが始まってから台湾はずっと新規感染者数を抑えることに成功してきました。ただ、ここ一ヶ月は増えてます。今、一日3000人強。
ただし、死者数は去年の9月からずっと驚異のゼロ。ゼロ!
ワクチンがなくて日本からアストロゼネカのワクチンを送ったりしたことも記憶に新しいですが、現在は8割近くが摂取済。日本とほぼ同レベルです。
台湾はロックダウンも、休校も、強制休業もなかったのでGDPも美しい右肩上がり、Covid-19の影響が見えないですね。
失業率も少し影響出てそうですが被害は軽微なようです。
ロシア
ウクライナへの軍事侵攻真っ最中のロシアを見てみましょう。
オミクロンの波が押し寄せた今年の2月がピーク、一日20万人を超える新規感染者を出しています。
死者数は去年の11月から12月ぐらいがピークで一日1000人超。新規感染者数の波とだいぶズレていますね。
ワクチン接種は人口の50%ぐらい。
ロシアのGDPは1985–1991年ぐらいにペレストロイカ・グラスノスチ・ソビエト連邦崩壊があって、2000−2008年が第一次プーチン時代で急成長、2008−2012年がメドベージェフ時代、2012年からが第二次プーチン時代で難航している。コロナショックは見えるけれどそれほど大きくはない。どちらかというとこれからの経済制裁の影響の方が大きくなるでしょう。
ちなみにあれだけ大きい国なのに人口5000万人の韓国と同じくらいしかGDPがないというこの事実。(source)
ヨーロッパのエネルギーを一手に供給しているのに。EUは2021年に天然ガスの全輸入の45%、原油の27%、無煙炭の46%をロシアからの輸入に依存している。
もちろんロシア依存脱却への動きは以前から始まっており、ポーランドは「2010~2014年の5年間の、ポーランド市場で消費された原油の約90%はロシア産だったが、2015~2021年の7年間では、その割合は25ポイント低下した。天然ガスの輸入先も、2015年にはロシアが72%を占めていたが、2021年には57%まで縮小している」という。ちなみにハンガリーのビクトル首相は「ロシア産ガスをルーブル建てで決済する」としている。
まあでも日本もGDPが3位だからといって笑っていられる立場ではなくて、GDP per capita(国民一人当たりのGDP)では30位と相当落ち込んでいる。ただし、ロシアは53位。もっと言っちゃうと中国は77位。(source)
日本は国民一人当たりのGDPでシンガポールにも、香港にも、台湾にも、韓国にも負けているわけです。
失業率も過去の失業率が高すぎて、コロナの影響はあるものの軽微に見えます。
ロシアといえばウクライナ侵攻の泥沼化。一体なぜロシアはこんなことをと外から見てると意味不明だった2月に見たのがこの動画「「ロシアの論理で読み解くウクライナ危機」。ロシア側の立ち位置で、ロシアの歴史・戦争・経済の被害を解説するというもので興味深い。
中国
Covid-19が最初に中国の武漢で発見されてから徹底した封じ込め対策をしてきた中国ですが、ここにきて急増し、一日3万人程度の新規感染者が出現しています。
死亡者数は低くおさえられているもよう。
ただ、ロックダウンが厳しすぎる。上海の人口約2500万人の大半が厳しいロックダウン下に置かれてから一ヶ月。配給制になっているらしいが、飢えに苦しむ人も出てきている。
中国はワクチンについての情報開示はちょっとフォーマットが違うので結局何人がfully vaccinatedかはわからない状態ですね。
台湾同様ずっとゼロコロナでやってきたので経済への影響も軽微でGDP右肩上がりが続いています。また、欧米がロシアへの経済制裁を強める中、漁夫の利は中国にいくのではないかと言われていますね。
失業率の上昇は2018年から始まっており、コロナとは別文脈ですかね。
インド
インドは2021年4月頃がひどかったのが記憶に残っていますね。。。
あの頃は一日の新規感染者数が40万人を超え、一日の死者数が4000人を超えていました。
2020年ぐらいはインド人がコロナにかからないのはカレーのおかげだみたいなエセ情報も出回ってましたがとんでもない。
インドは世界最多の新型コロナワクチンの製造を請け負っていました(インドのワクチンメーカーは300社もある)が、輸出しまくった結果国内への供給が少なくコロナがまん延。その後ワクチンの輸出を止めて国内供給に切り替えた結果海外が阿鼻叫喚に。
人口が多いので、今もワクチン接種率は60%ぐらいにとどまっているようです。
インドのGDPの右肩上がり成長は傾向としては変わりませんが、2020年はさすがに落ちています。
Trading Economicsではインドの失業率データが2019年からしか見られないのですが、同じソースで全部見るとして、2020年の失業率が25%と恐ろしいことになっているもののすぐにコロナ前の状態に戻ったようです。
ブラジル
ブラジルは大統領のボルソナロ氏が「コロナはただの風邪」としてコロナ対策を怠った(ブラジルの新型コロナによる死者数は、アメリカに次いで世界で2位)として上院特別委員会が大統領を訴追しようとしていました。大統領はロックダウンやマスク着用、ワクチンなどに否定的な発言を繰り返し、国連へもワクチン未摂取で参加しています。
ブラジル上院委、ボルソナロ大統領の訴追を支持 新型ウイルス対策めぐり
新規感染者数のピークは今年の1月で一日26万人。
死者数のピークは2021年4月で一日4000人。インドのピークとどっこいどっこいです。
ワクチン接種率は76%。
GDPは2020年落ちていますが復旧傾向。
失業率もあがったけど復旧しています。
イタリア
ヨーロッパで最初にコロナで大騒ぎになったイタリアはどうなのか。
ピークは今年の1月のオミクロンですね、新規感染者数一日20万人超え。
死者数のピークは医療体制が整わないままコロナを食らってしまった2020年の4月ですね、一日800人を超える死者が出ています。
ワクチン接種8割超え。
GDP・失業率は以下の通り。コロナ前から低迷していたので。
イスラエル
そういえばイスラエルどうなったんだろうと思ってみてみると:
新規感染者数は今年の1月がピークで一日8万人ぐらい出てる。
死者数は常に一日2桁でおさえられている。
ワクチン接種は世界の先陣を切っていた時期もあったけれど、今は7割を切っている。
経済はずっと右肩上がりでGDPもコロナの影響もなさそうです。
失業率も2020年に少しあがったもののコロナ前の水準に戻ってますね。