ありがとう、札幌!

Fumi
Oct 10, 2022

先週、NoMaps東京ミートアップに参加してきました。

NoMapsとは:

NoMapsは、北海道を舞台に、新しい価値を生み出す大きな枠組み

クリエイティブな発想や技術によって、次の社会・未来を創ろうとする人たちのための交流の場(コンベンション)です。

NoMapsは、未来に向けて切磋琢磨する人たちが集い、アイデアを広げ、気づきを共有しながら、新たな領域を切り拓くための出会いと発見が溢れる場を目指しています。

2016年からスタートしたNoMapsは、5つのミッションを掲げ、民間企業・官公庁・教育機関などが連携する「ALL HOKKAIDO体制」で運営しています。

MISSION

クリエイティブ産業の活性化と他産業への波及

創業支援・新産業の創造・投資の促進

クリエイティブな市民文化の醸成

札幌・北海道の国際的知名度・魅力の向上

「世界屈指のイノベーティブなまちSAPPORO」の実現

このNoMapsを作り、委員長を務めるのが初音ミクで有名なクリプトン・フューチャー・メディアの社長である伊藤 博之さん。せっかくなので久々にツーショットを頂きました :)

写真撮影の時だけマスクを外してます

iSummit2008

伊藤さんとの出会いはもう15年前、2007年にさかのぼります。私は2008年7月に札幌で開催予定のiCommons Summit Sapporo(略してiSummit)の企画・運営をやっていたのですが、その準備のため、前年から札幌を訪れ、札幌の面白い会社をたくさん訪問しており、そのうちの一つがクリプトン・フューチャー・メディアさんでした。当時はまだ会社も小さくマンションの一室で経営されており、靴を脱いでスリッパに履き替えてオフィスにお邪魔したことや、伊藤さんはじめ皆さんと何時間もミクやニコニコ動画、コミケや同人カルチャーなどについて語り合ったのを思い出します。

当時、あまりに伊藤さんやミクの話が面白いけど海外ゲスト達が多分知らないだろうな、会わずに日本を去ったらもったいないなということで「iSummitで日本に来たら、ぜひ伊藤さんに会って帰りましょう!」というブログを書いてました。

People you should meet at iSummit2008- Hiroyuki Itoh

札幌の素晴らしいところは、民間の人にしても、自治体の人にしても、「世界初なんですけど大丈夫ですか」「アジア初の企画を札幌でやりたいんですけど」と難しめの案件を持っていくと、「いいですね!」と目を輝かせてくださること。「前例は?」とか「初めてはちょっと。。。」という人も世の中にはたくさんいる中、さすが開拓者精神にあふれる札幌だなあといつも好ましく、ありがたくご一緒させていただいています。

例えば、2008年のiSummitはアジア初開催。iSummitというのは、クリエイティブ・コモンズおよびフリーカルチャーの普及、デジタル時代のオープンな情報共有のあり方について、芸術・著作権・IT・経済・教育等、さまざまな分野の有識者が世界中から集まり議論するカンファレンスで、弁護士(著作権なので)はいるわ、教育者(教育マテリアルをオープンにして、世界中で高レベルの教育ができるようにしようという取り組みをやっていたため)はいるわ、ミュージシャンやアーチスト(音楽やアート作品をクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで公開し、もっと見られるように、あるいはリミックスができるようにしようという取り組みをやっていたため)はいるわ、参加者の多様さがハンパないものでした。スピーチを中心としたカンファレンスもあれば、コンサートもあれば、アート展示もあり、コンテンツも盛りだくさん。

このイベントに札幌市が共催で入ってくださることになったのですが、見たこともないイベントはなかなかどういう物なのかわかりづらいだろうと思い、「2007年のサミットを見るためにドブロブニクに行きませんか」と説得にいくつもりでした。(iSummitは2005年にボストン、2006年ブラジルのリオ、2007年クロアチアのドブロブニクを経て、2008年7月28日〜8月1日に札幌で開催しました。)ところが「ドブロブニク行きませんか」と言ったら「いきましょう。ブースとか出した方がいいですよね?ほら、次は札幌開催だから来てねってことで観光案内のパンフとかもさしあげて。。。」と行くことありきで、行ったときに何をやるかの議論で盛り上がりました。爆速。普通の自治体だったら「ドブロブニクに行きませんか」と言った時点で旅費が予算が承認がとか、そもそもドブロブニクってどこですかから始まると思うのですが、そういうところが全然ない、というか既に調整が済んでいる。iSummit2008は札幌市さんの多大なるご協力のもと、大成功で終わることができたのでした。札幌市役所の皆さん、本当にありがとうございました!

photo CC-BY Creative Commons HQ

Ingress Sapporo Anomaly 2018

その10年後の2018年2月にNianticに入社したとき、2018年7月28日に札幌でIngressというゲームのアノマリーというイベントを開催することは(私が入社する前に)アナウンスされていたけれど会場がないという状態。夏の札幌はイベントだらけで、プロのイベントベンダーから「札幌中すべての会場候補に連絡したけれどどこも取れません」と言われる事態に。(iSummitのときは、1年前には会場を押さえていた)

そこで思い出したのが札幌市役所さん。iSummitが2008年7月28日、アノマリーが2018年7月28日。奇跡のように丸10年を隔てた同じ日なのである。おそるおそる札幌市役所のiSummitの時の担当者の方にFacebook chatでご相談したところ、その場で「わかりました、探しましょう」ということで、翌日から毎晩夜になると「この会場はこの条件ならOK」「こっちの会場はこういう条件なら使える」とご連絡をくださる。爆速。その結果、素晴らしい会場を使わせていただくことができ、大成功で終わることができたのでした。札幌市役所の皆さん、本当に本当にありがとうございました!

アノマリー前日の夜に会場でリハーサルをやっていたら、豊平川の花火大会が始まり、ベストポジションで見ることができてしまいました。

Google DevFestX Sapporo 2012

2010年にGoogleに入社し、2010年と2011年には「Google Developer Day」というGoogle Japan最大の開発者向けのイベントを東京と横浜で主催し、私はこれの企画・運営をしていました。そして2012年には「Google主催で年に数回だけ開催される Google Developer Day」ではなく、「コミュニティの、コミュニティによる、コミュニティのための開発者イベントが世界中でたくさん開催される」という、新しいイベントの形を模索したいと思い、「DevFestX」というイベントを実験的に立ち上げてみることにしました。

そこで世界初のDevFestXの開催地として白羽の矢を(勝手に。。。)立てたのが札幌です。当時、Google Developer Groupと呼ばれるディベロッパーコミュニティは東北や北海道には存在しなかったため、まずはクリプトンの伊藤さんに相談してみたところ、「ぜひ札幌でもGoogleの最新技術を学ぶ機会を作りたいし、やりましょう!」と即答してくださり、クリプトンの社員の皆さんがこぞってスタッフとして協力してくださることに。爆速。こうしてDevFestX Sapporoは大成功で終わることができたのでした。クリプトン・フューチャー・メディアの皆さん、本当にありがとうございました!

その後DevFestXは「X」を取り、「DevFest」として世界90カ国・450都市で開催されるようなイベントに広がりました。

Pokémon GO Fest Sapporo 2022

その後、2018年にNianticに入社し、2018年には横須賀でPokémon GO Safari Zone、2019年には横浜でPokémon GO FestというポケモンGOのイベントを企画・運営してきたのですが、2020年は色々変えたいと思っていました。今までのPokémon GOのイベントは公園の中でのみ開催するので、公園の収容能力とキャリアさんの回線の収容能力に参加できる人数が限られてしまう。2020年は公園内と公園外で一日をわけ、倍の人が参加できるようにしたい。また、会場が公園だと、せっかくその街に来たのに見るのは公園内のみになってしまう。どうせなら街のみどころがたくさんある都市で開催し、その都市を観光からグルメから、あらゆる切り口で満喫して帰ってもらいたい。関東の夏は暑いので、日本の中でもなるべく涼しいところで開催したい。

そんな思いを抱え、2019年8月6日〜12日にPokémon GO Fest Yokohamaを終えた直後の8月29日にBackstage2019というカンファレンスのスピーカーとして登壇することに。

このイベントに同じく登壇者としていらしていたのがクリプトンの伊藤さん。考えれば考えるほど、札幌がぴったりな気がして、その場で伊藤さんに今までのイベントの動画を見せて、どういう新しい形のイベントを作りたいのかを話したら、その場で「ぜひ札幌でやりましょう!」と即答してくださり、会場にいたNoMapsの佐藤さんがその場で担当してくださることになり、札幌市役所さんやイベント会社のWESさんとのやりとりなどを一手に引き受けてくださったのでした。爆速。2020年・2021年はコロナ禍もあって開催できず、2022年8月についに開催にこぎつけ、佐藤さんと会場で再会を喜んだ時の写真がこちら。

佐藤さんをはじめとするNoMapsの皆さんが3年間かけて準備にご協力くださり、Nianticマーケティングチームの皆さん、札幌市役所の皆さん、ポケモン社の皆さん、WESの皆さんの多大なるご協力により、Pokémon GO Fest Sapporoは大成功で終わることができたのでした。佐藤さん、伊藤さん、NoMapsの皆さん、本当にありがとうございました!

2021/11/11 update: Pokémon GO Fest Sapporo 2022の経済効果87億円

札幌の「ポケモンGO」イベント、経済効果87億円 5万5千人参加

スマートフォン向け人気ゲーム「ポケモンGO」を手がける米ナイアンティック日本法人(東京)は10日、札幌市内で8月5~7日に開催したイベント「ポケモンGOフェスト2022」に5万5千人以上が参加し、経済効果は約87億8千万円だったと発表した。同社のまとめによると、参加者のうち市外からの来訪が84%を占めた。3日間で1人当たり平均12キロを歩き、飲食や買い物などに約8万2600円を使ったという。

SXSW2011

そういえば、2011年3月11日、東日本大震災が起きた時もクリプトンの伊藤さんとご一緒していたことを思い出しました。私はこのときGoogleで働いており、South by SouthWest (SXSW)というカンファレンスで日本のテクノロジー市場についてのパネルディスカッションに登壇するためにテキサス州のオースティンを訪れていました。カンファレンスの一日目が始まるアメリカ時間の前夜に東日本大震災が起き、ホテルの部屋で日本から流れてくる地震、津波、火災などの映像を見続けて、夜も眠れず、涙が止まらず、食べ物が喉を通らなくなる事態に。

会場でばったりお会いできた伊藤さんと再会を喜びつつ、「日本人みんなでディナーするから一緒に来ませんか」とお誘いいただき、日本から来ている皆さんが思いのほか冷静なのを見て、私も冷静さを取り戻せたような気がします。その節も、ありがとうございました。。。!

これから

NoMapsは2022年10月19日〜23日にNoMaps2022というイベントを開催されるとのこと。残念ながら別の予定がかぶっていて私は行けないのですが、とても楽しそうなので、動画を拝見するのが楽しみです!

札幌では、これから2024年1月20日〜2月25日に札幌国際芸術祭が開催される予定で、アルスエレクトロニカ・フューチャーラボ共同代表の小川秀明さんがディレクターをつとめられます。楽しみです!!

また、札幌市は2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動も進めておられるとのことで、こちらももし決まったら札幌に行くのが楽しみです!

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Fumi

Currently explorer. Ex-Niantic, ex-Google, ex-NTT, ex-Interscope, ex-Technorati and ex-Digital Garage.