Watt is Money?

Fumi
42 min readOct 4, 2022

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先週、Financial Times・日経新聞・ライゾマティクスの三社コラボによるビットコインのマイニングに必要な電力消費量とその環境負荷に焦点をあてた映像作品’Watt is Money?’の展示を見に行きました。

動画はこちら:

FT側サイト日経側サイト

‘Watt is Money?’ -「報道×アート」ライゾマティクスが日経とイギリス Financial Timesとコラボレーション

本作品「Watt is Money?」は、暗号資産(仮想通貨)の代表格である「ビットコイン」の採掘(マイニング)に必要な電力消費量とその環境負荷に焦点をあてた映像作品です。

制作にあたっては、世界各地でおこなわれているマイニングの電力消費量に関する独自のデータベース「Cambridge Bitcoin Electricity Consumption Index」を公開している英ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センター(CCAF)の協力を得ました。そもそもマイニングとは何か、なぜ大量の電力を必要とするのかといった疑問についてもわかりやすい説明を試みています。
ビットコインは国や中央銀行のような管理者を持たない新たな通貨として2009年に登場し、世界で広がった。ただ、コインの取引データを認証してブロックチェーン(分散台帳)に追加するマイニングの作業にはコンピューターを使った膨大な量の計算処理が必要で、消費電力は推計で年間90兆ワット(Watt)時を超える。

Daitoさんと計良風太さんの日経インタビュー「ビットコイン、少し先の未来を考える ライゾマティクス・真鍋大度さん

ビットコインのマイニングの電力消費量はベルギーやフィリピンなどを上回る。真鍋さんは「アートの役割は問題提起だ」として、作品が「マイニングの仕組みが正しいのか、少し先の未来について考えるきっかけになってほしい」と語る。

動画を見ながら、国ごとに自分の記憶にある印象的なこととデータが噛み合ってたりなかったりしたので、自分の脳内の情報アップデートも含め、少し調べてみたら結構面白いのでメモ。

2019年9月

ぶっちぎりで中国の電力消費量が一日161GWh(ギガワット時)、エネルギー消費量あたりの二酸化炭素排出量が101266g CO2e/GWhと環境負荷が高い。ちなみに東京都が一日に消費する電力量は約210GWh。

右側のチャートが電力消費量(棒グラフ)と電力消費量あたりの二酸化炭素排出量(折れ線グラフ)の時系列データ。白線がタイムライン。

左側のチャートは、時系列が走っていく「その時点」の国別のエネルギー消費量と二酸化炭素排出量のデータで、石炭・ガス・石油・原子力・水力・太陽光・その他再生可能エネルギーで色分けされている。環境にやさしい電力の使い方であるかが左端、その電力の使い方でのエネルギー消費量が真ん中(この時点では中国が真っ赤)、その更に右の折れ線グラフがエネルギー消費量あたりの二酸化炭素排出量ということか。

これを見ると、エチオピア・アイスランド・ノルウェイ・パラグアイ・スウェーデン・スイスあたりは石炭・ガスがゼロに近いように見える。ブラジルもすごいグリーンだけど、ホンマかいな。逆に産油国を中心として、石炭・ガス・石油中心なのがバングラデシュ・香港・インド・イラン・カザフスタン・クウェート・リビア・モンゴル・シンガポール・UAE・ウズベキスタンとかですかね。色分けが見にくいので元データ見ないと間違ってるかも。

で、問題の中国は6–7割ぐらいが石炭・ガス・石油・原子力?

中国がぶっちぎりで、ロシアとアメリカが次いでいるのはわかるけど、そのすぐ次がマレーシア。2019年当時のマレーシアってそんなにマイナーが多かったんですね。

マレーシア

ちなみにこのマレーシア、ビットコインマイナーによる電力盗難がものすごいらしい。

マレーシアの違法ビットコインマイニングは、過去4年間で400%の電力盗難:損失はRM2.3b以上か(2022年1月)

マレーシア政府は1月24日(月曜日)、過去4年間で400%の電力盗難増加を記録し、推定23億リンギ(約625億円)以上の損失を記録し、違法なビットコインマイニング活動による電力の盗難を真剣に考えていることが新たに分かった。 2018年に610例、2019年に1,043例、2020年に2,465例、2021年に3,091例が検出されており、直近4年間で計7,209件の違法マイニングが検出された。この件についてエネルギー天然資源大臣のタキユディン・ハッサン(Takiyuddin Hassan)氏は次のように述べている。 「盗難の増加は、価値の面でエネルギー産業だけでなく、電力供給システムの安定性と公共の安全にも影響を与えるので、心配な傾向です。」

21年7月に、マレーシアの警察がスチームローラーを使用して電力を盗んでいた1,000台以上のビットコイン採掘マシンを破壊する動画。オコです。

こうしたビットコインマイナーによる電力盗難多発の結果、マレーシアの電力会社テナガ・ナショナルは、そういった犯罪行為を抑制するため、ビットコインマイナー向けの特別な料金プランを発表することに。

マレーシアの電力企業、ビットコイン採掘者に特別プラン提示へ(2022年3月)

ベネズエラ

ベネズエラの数値があまりにも低すぎる気がするけどどうしたんだろう。ベネズエラの電気代には助成金が出ており、ほぼ無料で電力を使用できるうえ、ハイパーインフレで自国通貨が暴落し、ビットコインマイナーが多いので有名だったはず。と思って調べたら「国営ビットコインマイニングセンター」までできていた。

ベネズエラ、ビットコインマイナーが10万人規模に(2017年10月)

ベネズエラは今年9月、2,400%のハイパーインフレーションに見舞われていると試算されている。外貨である米ドルを調達する方法も乏しく、ボリバルの価値が日に日に減価していくことに耐えかねもはや自国通貨への信頼をなくしたベネズエラの人びとは、ビットコインで日銭を稼ぐことに活路を見出しているようだ。ベネズエラの電気代には助成金が出ており、殆ど無料で電力を使用できる

AFPのインタビューに応えた匿名の人物は、オフィスに20台のマイニングマシンを設置し、月に800ドル以上(2600万ボリバル)を稼ぐと語っている。ベネズエラにおいてはマイニング自体は違法ではないものの、同国の諜報機関「SEBIN」が電力使用量を監視し、異常値を検知すると強制捜査に入ることは知られている。そのため、マイニング機器は分散して設置し、サーバーを海外に設置することで監視の目を逃れているようだ

あーだから数字に出ないのかな。

ベネズエラ、国有住宅での仮想通貨マイニングを禁止(2020年7月)

ベネズエラが、国有住宅でビットコインなどの仮想通貨マイニングを禁止する通知を出したことが判明。 ベネズエラ住居住宅省のIldemaro Villarroel大臣は「グラン・ミッション・ヴィヴィエンダ」プロジェクトに属する公共住宅および、その近隣地域で仮想通貨マイニング機器を設置することは許可されないと発表した。 この理由はマイニングによる電力消費が、政府の電力供給政策を損なうためであるという。

ベネズエラでは許可を下に仮想通貨マイニングを行うことが合法であり、政府が電気料金を補助しているため低コストで電力を利用できる。

2018年に家電関連企業エリートフィクスチャー社が行った調査によれば、ビットコイン1枚を採掘するのに掛かる平均コストはベネズエラが最安で、1BTCあたり、わずか約530ドル(5.7万円)だった。(アントマイナーS7・S9、アヴァロン6を使用した場合の平均値)

このためマイニングにいそしむ人々も多いが、現地マイナーによると警官が不正に賄賂を要求するケースもあるという。警察当局が恣意的に仮想通貨マイナーに接近、機器を押収し、返品と引換に賄賂を求めるものだ。

ベネズエラでマイニング収益を計算する場合、賄賂の支払いや機器が没収されることによる損失を含めなくてはいけないと嘆くマイナーもいる。

今月、ベネズエラでは防衛省に属する軍事組織が計315台のビットコインマイニングマシンを押収したことが報道された。この件に関わった司令官は、仮想通貨規制当局にライセンス登録していなかったことが原因であるとコメントした。

ベネズエラでは、外貨収入の9割を占める原油の価格低迷などにより財政破綻が起きた。紙幣増刷により、法定通貨ボリバルは一時1000万%のハイパーインフレーションを引き起こし価値が暴落、逃避資産として仮想通貨への需要が高まっている現状だ。

ベネズエラ政府、国営ビットコインマイニングセンターを開設(2020年12月)

ベネズエラ政府の軍隊が、仮想通貨ビットコインのマイニングを行うセンターを発足させた。米国の制裁を回避して「封鎖できない収入」を生み出すことが目的で、同国の仮想通貨規制当局Sunacripも後ろ盾となる。 ベネズエラ軍の仮想通貨マイニングセンターは、Agustín Codazzi Engineer Conditioning 題61旅団の元に施設を設立した。 センター立ち上げのセレモニーは、旅団のLenin Herrera司令官が主催し、ベネズエラで最高位の軍人の1人Domingo Hernández Lárez少将や、Sunacripと民間の仮想通貨マイニング企業Crypto&Tradingの代表者も参加した。 旅団は、この仮想通貨マイニングセンターの様子を説明する動画をInstagramに投稿。軍人が数多くのマイニングマシンを設置する様子が映し出されている。 動画では、これらのマイニングファームが、ベネズエラ国民の生活に悪影響を及ぼしている「米国により操作される法定通貨システム」を打ち負かすことを可能にすると説明している。

動画:

https://www.instagram.com/p/CHsNgU5Bf-4/?utm_source=ig_web_copy_link

この仮想通貨マイニングセンターは、10月にベネズエラで承認された封鎖防止法の一環として行われた。この法律は、ベネズエラ政府に米国の制裁による経済、商業、金融面の封鎖に立ち向かうメカニズムを与えるものだ。「技術者、学者、企業、労働者評議会などから、戦略的セクターへの投資を確実にする」もので、法律が制裁措置により、適用できない、または非生産的になった場合、それを一時停止することもできる。ベネズエラでは、ハイパーインフレにより法定通貨「ボリバル」が機能不全に陥っており、民間でも貯蓄を守る手段として仮想通貨が利用されている。政府は金融封鎖対策で、世界で初めて国家による仮想通貨「ペトロ」を発行するなどしたが、今ではビットコイン等の送金や決済にも力を入れている

世界で初めて国家が発行する仮想通貨「ペトロ」ってありましたねえ。全然使われていないとの噂の。。。と思ったらボーナスがペトロで払われたりしているらしい。とはいえ厳しそう。

ベネズエラ:冬のボーナスを「仮想通貨ペトロ」で支給(2019年11月)

ベネズエラのマドゥロ大統領は、公務員並びに退職者と年金受給者に対し、クリスマスボーナスの支払いを政府発行の仮想通貨ペトロで支給すると発表した。

11月18日、地元メディアのVenepressが大統領の発言として報道したが、その金額は0.5ペトロで、ベネズエラ中央銀行によると、換算額は897,317.27ボリバル(約3,235円)に相当するという。

ベネズエラ政府は、昨年12月にも年金受給者に対するボーナスの支払いをペトロで行っている。 しかし、同年2月に発行され、11月にパブリックセールが行われた仮想通貨ペトロを実際に使用することは、大統領をはじめとする政府の喧伝とは相反し、困難を極めたようだ。

今年に入り、ベネズエラ国内のペトロを取り巻く事情は多少、改善されてきている。

7月、マドゥロ大統領は、同国の最大手銀行「Banco de Venezuela」に対し、全支店に仮想通貨ペトロの受付ができる窓口を設けるように命令。 そして9月、同行はペトロの仮想通貨ウォレットの提供を開始している。 また、ベネズエラ最大のデパートチェーンTrakiでペトロの取り扱いが開始されると、スーパーやホテルチェーン等の小売業者が相次いで導入、10月には100店舗近くまでペトロの取り扱いが普及したと政府は発表している。

しかし、現状では政府が積極的に後押しするペトロ普及策は、空回りしている感も否めない。

通貨モニタープラットフォームCoinDanceのデータによると、11月の第2週には、ベネズエラにおけるビットコインの出来高が過去最高を記録している。つまり、ベネズエラ国民は、政府が推し進めるペトロよりもビットコインに価値を見出し、信頼しているということだろう。

ペトロに対するベネズエラのビジネス界からの評価も厳しいものとなっている。

ベネズエラ、最低賃金を自国の仮想通貨ペトロと連動へ(2022年3月)

南米ベネズエラは、最低賃金を現在の約18倍である126ボリバル(約3,200円)に引き上げることを発表した。また、同国における最低賃金を独自の暗号資産(仮想通貨)ペトロ(PTR)価格の50%に連動していく。

ペトロは、18年にローンチされた石油を裏付け資産とする独自の仮想通貨。ベネズエラでは経済混乱により大規模なインフレが継続しており、自国通貨ボリバルの信用度が低下していたため、通貨価格の安定を目的にペトロ発行に至った。発行当初は「国が管理する初めての仮想通貨」と宣伝されていた。

エルサルバドル

そういえばビットコインを法定通貨にしたエルサルバドルはグラフにすら入ってないけどどうなったんだっけ?と思ったら。

ビットコインを法定通貨化するエルサルバドルの将来 (2021年9月)

中米エルサルバドルでは、9月7日からビットコインが法定通貨となる。ブケレ政権がビットコインを法定通貨として採用する「ビットコイン法」という法案を提出し、国会で6月8日に同法案が賛成多数で可決された。それが90日を経て法制化されるのである。

エルサルバドルでは、価値が不安定であった自国通貨コロンを2001年に放棄し、米ドルを法定通貨として採用した。現在の法定通貨である米ドルは、そのまま法定通貨の地位を維持するため、2つの法定通貨が併存する異例の体制となる。

ビットコインはマイニング(採掘)に大量の電力を消費し、環境に負荷を与える点が最近では問題視されている。この点についてブケレ大統領は、国内火山の地熱を利用したビットコインのマイニングも視野に入れている、と説明している。

また「CHIVO(チボ)」(「かっこいい」を意味する現地のスラング)と銘打った政府公認の電子財布も導入し、利用奨励策として30ドル分のビットコインを配布する計画である。さらに、仮想通貨のATMを運営する米アテナビットコインが、エルサルバドル国内のショッピングセンターに13台のATMを設置したと報じられている。大統領はATMを200台設置するとしている。

しかし、ビットコインの法定通貨化については、エルサルバドル国内でも否定的な意見は少なくない。エルサルバドル商工会議所の調査によると、回答者の90%以上がビットコイン導入に懐疑的であり、4分の3が引き続きドルを使うと明言している。また、フランシスコ・ガビディア大学の調査では、44%が「仮想通貨の導入により経済が悪化する」と回答した。

アングル:ビットコイン法定化から1年、夢破れたエルサルバドル(2022年9月)

中南米で最も貧しい国の1つであるエルサルバドルは、昨年9月7日に世界で初めて暗号資産(仮想通貨)のビットコインを法定通貨に採用した。ブケレ大統領が同年11月にビットコインを核とする戦略都市「ビットコインシティー」の建設計画を打ち出したが、法定通貨化から1年を経過した今、建設予定地は深いジャングルに覆われたままだ。

ブケレ氏の当時の説明では、ビットコインシティーは仮想通貨の投資家と採掘者(マイナー)への課税を免除し、空港や居住・商業地区、上空から見るとビットコインのデザインを模したことが分かる商業施設などを備える構想だった。つばを後ろ向きにした野球帽をかぶり、全身のファッションを白でまとめたブケレ氏は熱狂的なビットコイン支持者数百人を前に「ここに投資して、好きなだけ儲けよう」とぶちあげた。2021年11月のことだった。しかし、ロイターの記者が最近、東部のコンチャグア火山に近い建設予定地を訪れたところ、重機も作業員も資材も見当たらず、そのような商業施設の建設が進んでいる様子はなかったビットコインの暴落により、建設計画はむしろ多くの国民にとって愚行の象徴となっている。

エルサルバドルがビットコインを法定通貨に採用した時、ビットコインは4万7000ドルに迫っていた。1年後の今は価値が半分以下に沈み、6日には1万9770ドル近辺で取引された。ブケレ政権はこの記事へのコメントを拒否した。だが、計画は長期的だと説明。ビットコイン政策は投資を呼び込み、銀行の手数料をゼロに引き下げ、観光客を増やして、誰もが金融サービスにアクセスできるファイナンシャルインクルージョン(金融包摂)を促進したと意義を強調した。ところが、ビットコイン価格の下落はエルサルバドルの財政リスクを高め、2023年と25年に期限を迎える16億ドルの国債は、償還資金の手当てが難航している。

国際通貨基金(IMF)はエルサルバドルに対し、金融、経済、法的な懸念を理由にビットコインの法定通貨化の見直しを求め、IMFとの融資交渉は複雑になっている。

専門家によると、ビットコインの普及も進んでいない。大統領府も財務省も、政府のビットコイン専用スマートフォンアプリ「チボ」の利用状況についての統計を公表していない。だが、米国に拠点を置くNGO、全米経済研究所(NBER)の調査によると、チボをダウンロードした国民のうち、政府が利用促進のために無料配布した30ドル相当のビットコインを使った後も継続してアプリを利用したのは、わずか20%だった。アプリのダウンロードの大部分は昨年に、具体的には同年9月に集中しており、今年は今までのところほとんどダウンロードが行われていないという。理屈の上では、エルサルバドルのような発展途上国は現金に依存する状態が続き、銀行口座を持たない国民が多いため、仮想通貨貨導入の理想的な候補地だ。しかし、4月のNBERのリポートによると、ユーザーは「ビットコインを理解しておらず、信頼せず、企業にも受け入れられていない上、ビットコインは非常に不安定で、高い手数料を伴う」ため、「取引の媒体として広く使用されていない」と指摘された。エルサルバドルの法律は全ての企業に仮想通貨の受け入れを義務付けているが、1800世帯を対象にした調査によると、受け入れているのは20%に過ぎない。首都・サンサルバドル中心部にあるイェスス・カセレスさん(47)の小さな時計店は、ビットコインの支払いを受け入れており、そのことを示す表示も出している。だが、これまでにビットコインで支払いが行われたのはわずか2回。「1回は3ドル、もう1回が5ドルで、合計8ドル。それ以来は皆無だ」と話す。政府はまた、海外で働くエルサルバドル国民に対し、チボや民間の仮想通貨ウォレットを使い、手数料なしに本国に送金することを奨励してきた。本国送金はエルサルバドルの国内総生産(GDP)の26%を占め、この比率は世界最高水準だ。しかし、中央銀行の統計によると、昨年9月から今年6月の間の本国送金は約64億ドルで、このうちデジタル仮想通貨ウォレット経由は2%未満だった。政府はビットコインの使用状況と同様に、ビットコインシティー構想について、詳細をほとんど公表していない。だが、ブケレ氏が建設費を賄うために計画した「ビットコイン債」はビットコインの暴落を受けて発行が延期され、構想は見通しがますます不透明になっているようだ。

エルサルバドル、ビットコイン普及遠く 法定通貨1年(2022年9月)

中米エルサルバドルで2021年9月7日に世界で初めて法定通貨に採用した暗号資産(仮想通貨)ビットコインの普及が遅れている。国民は従来の法定通貨である米ドルを決済手段として使い続けており、1年たっても多くの店舗がビットコインに対応していない。法定通貨とは名ばかりの実態が浮き彫りになっている。

エルサルバドルは21年9月7日に発効した「ビットコイン法」でビットコインを法定通貨と位置づけた。同法は顧客がビットコインでの支払いを希望した場合、店舗は原則として拒否できないと定めている税金もビットコインで支払える。従来の法定通貨であるドルと併用している。

ビットコインを法定通貨にした後も、商品やサービスの価格はドルに基づいている。商品の値札に書いてあるドルの価格は変わらず、決済時の交換レートに応じてビットコインで支払う金額が決まる仕組みだ。例えば1ビットコインが2万ドル(約280万円)のときに1ドルの商品を買うと、スマートフォンアプリを通じて0.00005ビットコインを支払う。小規模な店舗の多くは1年たってもビットコインの決済に対応していない。法律が義務付けていても、実際には政府が店舗にビットコインの受け取りを強制していないからだ。エルサルバドルのルース・ロペス弁護士は「ビットコインでの支払いを拒否して罰則を受けた事例はない」と指摘する。

ビットコインに対応している店側も、急激な価格変動に苦慮している。サンサルバドルで衣料品店を営むフレディ・ランダべルデさん(45)は「ビットコインを受け取ったらすぐにドルに替えている」と話す。法定通貨になる前からビットコインを取り入れてきたビーチでレストランを営むフリオ・マルティネス(40)さんは「ビットコインの場合は20%上乗せした金額をお願いしている」と打ち明ける。

ビットコインを法定通貨にしてからめっちゃ下がってますからねえ。

国際通貨基金(IMF)はビットコインを法定通貨にしたエルサルバドルに反発し、同国が13億ドルの新たな融資を受ける交渉が停滞している。同国は総債務残高がGDPの9割に迫り、米格付け会社は信用格付けをデフォルト(債務不履行)の一歩手前まで引き下げている。在エルサルバドル日本国大使館の7月時点の試算によると、政府はビットコイン購入で約5900万ドルの含み損を抱えている可能性がある。中米のシンクタンクICEFIのシニアエコノミスト、リカルド・カスタネダ氏は「ビットコインの実験が成功すればブケレ大統領の成果だ。だが失敗すれば犠牲になるのは税金を払う国民だ」と指摘する。

2020年9月

あいかわらず中国が突出。カザフスタンが伸びてきました。9割が石炭石油。そういえば、2019年にビットコインのマイニング工場をカザフスタンに作ったという人たちの話を聞いたことがあったのを思い出しました。

2020年11月

中国が154GWhに対してアメリカが伸びてきて74GWh(数字が倍近いけど棒グラフが同じ位置なのは60GWh以上はまるっと同じになっているからかな?)、ロシアとカザフスタンがそれに続き、更にはカナダ、イラン、ドイツも増えてきた。

2021年6月

5月に中国政府による仮想通貨全面禁止が行われ、中国からのビットコインマイニングがストップ。これにより、右側の時系列チャートでは全世界のエネルギー消費量がドカッと半分ぐらいに落ちたのが見て取れるし、左側の国別チャートでは中国がゼロまで一気に落ち、真ん中のマップから中国が消えた。

情報BOX:中国が仮想通貨全面禁止、背景と行方を探る(2021年9月)

中国当局がついに暗号資産(仮想通貨)に関連する全ての取引と採掘(マイニング)を禁止すると発表した。これによりビットコインをはじめとする主要仮想通貨の価格は軒並み下落し、株式市場で仮想通貨やブロックチェーン技術の関連銘柄にも売り圧力がかかっている。

2021年8月

ただしその直後2021年8月ぐらいにはすぐに中国の数字が元通りに(!)。

そして中国、アメリカに加えてカザフスタンがナンバースリーに。中国でマイニングが禁止された結果、大量のマイナー達が流入したのが寒冷で電気料金が安く、古い工場や倉庫がふんだんにあったカザフスタンだということらしい。

あれえ、中国はまだマイニングを禁止してるのになんで数字高いの。。。と思ったら。

中国人民銀、仮想通貨を全面禁止 「違法」と位置付け(2021年9月)

中国人民銀行(中央銀行)を含む中国の証券、銀行規制当局などの10機関は24日、暗号資産(仮想通貨)の取引と採掘(マイニング)を全面的に禁止すると発表した。仮想通貨に関連する活動を「違法」と位置付け、海外の取引所が中国本土向けのサービスを提供することも禁止。市場では、ビットコインなどの仮想通貨のほか、仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーン関連企業の株価が急落している。

人民銀は声明で、仮想通貨が伝統的な通貨と同じように流通することがあってはならないとし、海外の取引所が中国本土向けのサービスを提供することも禁止すると表明。金融機関、決済会社、インターネット企業が仮想通貨の取引を手助けすることも禁止し、こうした行為のリスク監視を強化する方針を示した。

その上で「人々の財産を守り、経済・金融・社会の秩序を維持するため、仮想通貨の投機、関連する金融活動、不正行為を断固として取り締まる」と表明した。

国家発展改革委員会(発改委)は、仮想通貨のマイニング活動は中国の経済成長にほとんど貢献しない一方で、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)達成を阻害するとし、マイニングに必要な資金支援と電力供給を断ち切ると表明した。

やっぱり地下で続いていたらしい。

ビットコイン採掘シェア、中国2位に再浮上 地下活動か(2022年5月)

暗号資産(仮想通貨)ビットコインのマイニング(採掘)の国・地域別シェアで中国が2位に再浮上したことが、英ケンブリッジ大学の研究チームが17日公表した最新の報告でわかった。中国の比率は採掘作業などが禁じられたことで一時「ゼロ」になっていた。実際には当局の目をかいくぐる地下活動が広がっているもようだ。

ケンブリッジ大オルタナティブ金融センター(CCAF)の推計によると、1月の中国のシェアは21.1%で、米国の37.8%に次ぐ2位になった。3位はカザフスタンの13.2%だった。

中国人民銀行(中央銀行)は2021年5月にマイニング禁止の方針を打ち出し、同年6月には仮想通貨に絡む取引サービスを提供しないよう主要金融機関に指導した。これを受けて中国のマイニングシェアは7~8月に推計上ゼロになっていた。ところが9月に22.3%と突然復活し、その後は2割前後で推移している。

CCAFのミシェル・ラウクス氏は日本経済新聞の取材に、中国の状況について「厳しい規制で大手はすぐに停止してカザフスタンなどに(拠点を)移す一方、中小事業者は様子見した後に活動を広げる傾向があった」と話した。ゼロだった期間にドイツやアイルランドなどで比率が高まったのはVPN(仮想私設網)による迂回と考えられるという。「中国の事業者による継続的な地下マイニングの展開を示唆する」と分析している。

おかしいと思ったのは私だけではなかった。

中国でマイニングは止まっていなかった(2022年5月)

前回のアップデートでは、中国のマイニングシェアが2021年6月の34.3%から、同国での暗号資産(仮想通貨)マイニングの禁止を受けて、同年7月には0.0%にまで減少したことが明らかとなった。一方、今回の最新版では、そのシェアが2021年8月の0.0%から、同年9月には22.3%まで急増したことが分かった。明らかに何かがおかしいので、早速探ってみよう。中国がビットコイン(BTC)マイニングを禁止したのは2021年5月。それは、データにも如実に表れている。7月までには、中国にはマイニングを行うマイナーは実質的に存在しなくなった。8月もゼロだ。それが9月、いなくなったマイナーのほとんどが、帰ってきたのだ。少なくとも、データが語るのはそのような状況だ。

データがこのようになっているのは、CCAFによるデータ収集の方法が原因だ。CCAFはビットコインマイニングプールと連携し、IPアドレスに基づいてマイニング施設の地理データを集めている。(プールでは、異なる多くのマイナーがマイニングで協働し、マイニング報酬は貢献度に応じて分割される)

そこに、CCAFが以下に警告する通りの問題が潜んでいる。

特定の地域の(マイナーが)VPN、つまり所在地を曖昧にするためにIPアドレスを隠すサービスを利用していることは、皆が知っている事実だ。そのために、データが歪み、一部の国や地域のハッシュレートが過剰(あるいは過小)に推定される可能性がある

そうなると、真実はかなり退屈なものだ。

中国のマイナーは、政府による取り締まりが真剣なものであることを恐れ、所在地のデータをごまかし、潜伏した
・しばらくすると中国のマイナーは、「あんまり大したことなさそうだ」と気づき、実際の所在地データを共有するようになった

それだけのことだ。

しかし、これですべてではない。より表に出ているビットコインマイニング事業者たちは確かに、少なくとも事業の一部を移転し、中国以外、おおむねアメリカを拠点とするマイニングの増加はしっかりと記録されている。

それを浮き彫りにするように、ビットコインネットワークの演算能力を表すハッシュレートは、中国でのマイニング禁止以降、40%増加した。このデータの奇妙さを認識したCCAFは、今回のアップデートに関するブログ記事を投稿。そこには、次のように記されている。

最も特筆すべきは、中国の復活だ。2021年6月の政府による禁止令後、中国全体で報告されたハッシュレートは、7月から8月にかけてゼロまで急減した。しかし、それが9月には突如、30.47EH/sまで急増。中国はマイニング能力の点で、世界で2番目(全体の22.29%)の地位に躍り出た

このことは、地下で潜伏して行われるマイニング活動が同国で大いに盛んになったことを示唆しており、業界の内部関係者が長らく推測していたことが、データによって明らかとなった形だ。

ここで大切なのは「報告された」という言葉だ。つまり、中国は再びビットコインマイニングを禁止できる、ということだ。この先、中国からさらにFUD(恐怖、不確実性、疑念:fear, uncertainty and doubt)がやって来るかもしれない。あるいは、みんながVPNを使って所在地を中国に変えて、私を混乱させているのかもしれない。

2022年1月

中国、アメリカ、カザフスタンがスリートップ。ロシアが減っているように見える。ロシアはこの1ヶ月後にウクライナに侵攻する。

中国

中国だけ切り出したビジュアライゼーション。

2019年の時点では四川のエネルギー消費量が69GWhとずば抜けて高い。

2020年に60GWh超えしているこの都市はXinjiang?新疆ウイグル自治区?

2021年6月の中国当局によるマイニング禁止で一旦沈黙。

このあと地下活動で数字は上がってるはずだけど、都市ごとのビジュアライゼーションを見せてないのは摘発防止のためかな?

別のビジュアライゼーション。

2020年8月。真っ赤なのが中国、ほかの国を寄せ付けないエネルギー消費量の高さ。

2021年5月、アメリカのエネルギー消費量がめっちゃ増えてくる。

2021年6月、政府の規制で中国がゼロに。

2021年10月、アメリカ93GWh、戻ってきた中国の地下活動と中国から移動した人達のカザフスタン。

更にまた別のビジュアライゼーション。

2019年10月、赤が中国。全世界の電力消費量の8割ぐらいをしめている。

2020年3月、中国とその他の国々が半々ぐらいに。

2021年7月、規制で消えた中国。(赤はアメリカ)

2021年12月、戻る中国。(左の赤がアメリカ、右が中国)

イラン

ちなみにイランは2019年7月に仮想通貨マイニングを正式に産業として認めている。

イラン、仮想通貨マイニングを正式に産業として認める(2019年7月)

イラン政府の経済委員会が、「仮想通貨に係るマイニングのメカニズム」を承認し、仮想通貨マイニングを正式に産業として認めた。イラン国内においてマイニングファーム運営の国内法適用を求める声を受けての対応。イラン商工鉱業農業会議所が22日、公式サイトにて発表した。

マイニングを正式な産業として認める伏線は以前からあった。経済委員会のトップ、エリヤス・ハズラティ氏は最近の会合で、「仮想通貨は政府公認の産業である」と発言。以下のように続けている。「仮想通貨産業がイランで正式な産業として認められるべきだと考えている。税収や関税で有利に立てればと思う」

イランでは電気代が安価なことなどを理由に、国外から多くのマイニング業者が押し寄せ、慢性的に電力供給が不安定な状況が続く。そのため、同国政府はマイニング業者への電力供給を遮断する意向を示すなど、仮想通貨マイニングや取引に厳しい態度を示していたが、今回の承認で、同国内のマイニング事業に関して肯定的な立場に転換するとみられる。
一方で、米国からの経済制裁を受けて経済不況に悩まされるイランでは、ビットコインの避難通貨としての需要が高まっている。

そのため、7月初旬に同国のヘマティ総裁は「ビットコインを国内経済のために利用するべきだ」と言及するなど、仮想通貨の受け入れに前向きな姿勢を示していた。

ところがその一ヶ月後には国内での仮想通貨取引を禁止(マイニングはOK)。

イラン、国内での仮想通貨取引を認めず|マイニング事業は米国の経済制裁軽減狙いに承認(2019年8月)

イラン政府が、国内で行われたあらゆる仮想通貨の取引の合法性を認めないという法案を承認した。現地メディアが4日報じた。政府は「政府と金融機関はデジタルコインを法定通貨と見なさず、イラン中央銀行はその価値を保証しない」と述べているという。

一方で、同法案では、仮想通貨マイニングのマイナー(採掘者)がイラン産業省から承認を得た場合、同国内でのデジタルアセットの採掘は認められると述べた。マイニング行為は、規制の厳しい首都テヘランとエスファハンの中心地を除いて、各省の中心から30キロメートル外側であれば、マイニングが合法的と認められるという。

また、政府は「マイナーはまた、マイニングマシンに関してイランの標準化と通信当局によって認定された規則を遵守すべきである」と述べ、通貨の採掘に使用されるエネルギーには一定の手数料が適用されると付け加えた。さらに、マイニングファームの所有者は、デジタル通貨の採掘で得られた利益をイランの経済サイクルに還元しない限り、マイニングファームは工場生産単位のように課税されるという。

その後、電力需要を鑑み、2021年5月から9月まで約4ヵ月、採掘事業を禁止する措置を講じている。

イラン政府一般家庭内でのビットコインマイニングを新たに禁止(2021年5月)

イラン政府によると、家庭用マイニングは、すでに負担がかかっている全国の電力網に過度の圧力をかけており、同国エネルギー省は、家庭内でビットコインマイニングをしていることが判明した場合は罰金を科すよう指示を出したとのこと。

イラン政府は家庭でのマイニングを制限しているが、独立した発電所からの電力オークションの承認は、マイニング活動から収益を得るための計算された動きであることは注目に値する。

すべてのマイニングは、政府に仮想通貨マイニング料金を支払う必要がある。自宅内でマイニングを実施している人々は当局に通知しないため、マイニングから収入を得られないことが今回の自宅内でのマイニング活動禁止の裏にある“本当の理由”である可能性が高い。

イラン政府による今回の動きは、ビットコインが世界中で受け入れられ採用されるにつれて、ビットコインの成長をチェックするための政府による多くの試みの1つである。ビットコインは、政府の検閲と国民経済の強制的な統制を打ち負かす手段として設計されており、当局がその影響力の拡大に満足していないことは明らかで、反対にそのような試みのほとんどは、仮想通貨業界やビットコインにはあまり影響を与えていない。

2021年4月、規制前。

イランで違法マイニングとの闘い:警察が7,000台の仮想通貨マイニング機器を押収(2021年7月)

イラン国内で、違法なビットコインマイニングが後を絶たず、警察が捜査を続けているなか、先日、テヘラン警察が、廃工場から7,000台のマイニング機器を押収したことを大手メディアのロイターが報じた。

イランでは2021年に入って無許可のマイニング事業摘発強化を実施しており、18カ月で1,620カ所に上る無許可マイニングファームを閉鎖に追い込んでいる。

2021年9月。ゼロにはなっていないけど、激減してる。(数字が白くて読めない)

10月にはマイニング禁止を解除。

イラン政府が前政権で規制された仮想通貨マイニング禁止を解除へ(2021年10月)

かつてイランではロウハニ元大統領指揮の下、米国による経済制裁軽減の狙いでマイニング事業を承認。しかし、イランの仮想通貨マイニング業者がテヘランや他のイラン国内地方都市で起こった停電について非難された後、マイニング業者に対し、操業禁止を命じていた。

これは、イランが強力なコンピューターによる世界の仮想通貨マイニングの約7%を収容しているためで、多くの電力を消費していた事が原因となり、禁止に至ったという経緯がある。しかし、8月には夏季は電力消費量が急増するものの、初秋から気温が下がることで消費電力が抑えられることから、ビットコインマイニングの制限が解除されると発表されていた。

イランでは、ロウハニ元大統領の指揮の下、仮想通貨マイニングの操業が国内の電力網に過負荷をかけるのを防ぐ目的でビットコイン(Bitcoin/BTC)と仮想通貨マイニングを禁止した。

マイニング業者は、イランで経験した絶え間ない停電と電力不足を引き起こしたと言われており、その影響により、隣国アフガニスタンへの電力輸出も停止している。当時、イランのすべての仮想通貨マイニング業者の85%が違法操業しており、イランでは禁止措置に踏み切らざる得ない状況であった。ただし、今後は禁止が解除されたため、許可されたマイニング業者のみが操業再開が許可される。これは、違法仮想通貨マイニング業者が、電力不足と定期的な停電で国を後退させると報告されており、再び同じ状況に陥らないための同国による規制としてマイニング業が許可制となっている。

ところが12月、電力不足で再び禁止。

イランが電力不足を理由に再びビットコインマイニング業者に一時停止命令

イラン国内では電力不足による国民への影響を受け、マイニング禁止していた。この時と同様に、イラン当局が地元の仮想通貨マイニング業者に対し、冬の間マイニング事業の稼業をやめるように命じた事が分かった。イランのエネルギー省は、地元の認可され仮想通貨マイニング事業者に対し、一年で最も寒い時期に電力不足に直面することが想定されていることから、活動を一時的に停止するように命じた。当局は2021年5月から9月にかけて同じ措置を講じており、同措置はこれで2度目となる。

2021年12月のデータ。イランはたしかに0.3GWhと更に激減。

カザフスタン

今回使われているデータは2022年1月までのようなので、中国・アメリカと並んで電力消費量が多いように見えるカザフスタンだが、2022年2月に、電力不足のため、暗号資産マイニングの規制強化が指示され、採掘企業が強制閉鎖されているらしい。3月以降のデータが含まれたら、様相は変わっているかもしれない。

トカエフ大統領、暗号資産マイニングの規制強化を指示(2022年2月)

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は2月8日、オンライン形式で行われた政府拡大会議において、暗号資産マイニング(採掘)の規制強化を指示した。

カザフスタンにおける暗号資産マイニングは中国からの業者流入により、世界シェア2位にまで急速に発展した。一方、無認可業者が後を絶たず、電力不足を招いている。トカエフ大統領は「暗号資産マイニングによるカザフスタン経済社会への恩恵はわずかにもかかわらず、電力を大量に消費している」とし、政府に対して国内のマイニング業者の実態把握と無認可業者の取り締まり、適正な税務申告と徴税などの管理強化に加え、2022年1月1日から施行された1キロワット時当たり1テンゲ(約0.27円)のマイニング税を引き上げるよう指示した。

カザフスタン、電力不足に伴い仮想通貨マイニング企業を強制閉鎖(2022年2月)

カザフスタンのエネルギー省は21日、「規制の範疇を超えて(違法に)電力を使用している」として、13箇所の暗号資産(仮想通貨)のマイニング拠点を閉鎖したと発表した。点検結果によるもので、調査は地方当局などと合同で行われた。合計202メガワットを利用する仮想通貨採掘拠点の特定に成功したという。

カザフスタン共和国は、中国とロシアに隣接する旧ソ連の国家だ。21年5月に中国のマイニング事業全面停止の影響で、マイニング業者が撤退を余儀なくされた際には、新たな拠点として安価な電力代が着目されたカザフスタンに白羽の矢が立った。英ケンブリッジ大学の統計によれば、21年8月時点ではカザフスタンのハッシュレートは世界2位まで急成長。米国に次ぐマイニング拠点となりつつある。

しかし、同年冬頃までにマイナーの電力使用が急増した影響で、同国内の電力不足が深刻化。カザフスタン政府は21年10月、マイニング企業による電力使用について制限する施策が導入したほか、翌年4月からマイニング企業に対する電力税引き上げが発表された。

22年1月には、大規模デモに伴うネットワークの遮断でマイニング企業への電力供給が停止する事態も発生。一部では地域全体が停電する状況も発生しており、マイニング企業が地方インフラを圧迫していた。

このような電力使用制限やマイニングコスト増加に伴い、マイナーはカザフスタンから他国へ再移転をせざるを得ない状況に追い込まれた。海外メディアForkastによれば、22年1月中旬だけでも9社のマイニング業者が海外移転したという。

カザフスタンの危機が、ビットコインの採掘に大混乱を巻き起こす(2022年1月)

中国で仮想通貨(暗号通貨)のマイニングが禁止され、大量の採掘者(マイナー)たちが流入したカザフスタン。寒冷で電気料金が格安という理想的な環境が揃っていると思いきや、いまや電源の喪失や市民の動乱、迫り来るロシア軍の脅威などによって、多くのマイナーたちが身動きがとれなくなっている。

デニス・ルシノヴィッチが2017年にカザフスタンで仮想通貨をマイニングするMaveric Groupを立ち上げたとき、彼は“ひと山当てた”ような気分だった。中国とロシアに国境を接するカザフスタンには、ビットコインの採掘者(マイナー)が望む環境がすべて揃っていたのである。 気候が寒冷であるだけではない。古い倉庫や工場が大量にあり、マイニングの拠点として活用できた。そして、いちばんの魅力が格安の電気料金だ。仮想通貨(暗号通貨、暗号資産)を生み出すには大量の電気が必要になる。 「本当にいいチャンスだったのです」と、ルシノヴィッチは言う。『フィナンシャル・タイムズ』によると、中国が21年6月に仮想通貨のマイニングを禁止するやいなや、中国にいたマイナーたちも彼に続いてわれ先にとカザフスタンに拠点を移した。そして87,849台ものマシンを持ち込んだという。この当時はビットコインのマイニングネットワークにおいて、全体の60~70%を中国が占めていたのだ。 それから1年が経ち、当初のブームは過去のものになった。カザフスタンに移ったマイナーたちは極寒で凍ってしまう装置や市民の動乱という現実に直面し、そのうえ間近にはロシア軍が迫っている。それなのに、カザフスタンから出ることすらできないのだ。

カザフスタンは2022年1月中旬、混乱に陥った。まず、同国南部で燃料費の高騰に対する抗議が巻き起こり、警察に鎮圧された。前大統領のヌルスルタン・ナザルバエフは安全保障会議議長を解任され、インターネット接続が遮断された。そして旧ソ連諸国の軍事同盟である集団安全保障条約機構(CSTO)の部隊が、ロシアに率いられてカザフスタンに展開した。 インターネットの遮断によるマイニングへの影響は明らかだった。ビットコインネットワークのハッシュレート(採掘スピードに相当)が12%も落ち込んだのである。暗号通貨分野を調査企業のArcane Researchのアナリストのジャラン・メレルードによると、回線の切断だけでも国内のマイナーに2,000万ドル(約23億円)の損失をもたらしたという。なにしろ、カザフスタン全体が6日間で計約100時間もネット接続なしで過ごしたのだ。つまり、インターネットが24時間遮断されるごとに480万ドル(約5.5億円)の損失という計算になる。 この数カ月で多くのマイナーの活動が不運に見舞われていたが、そこに今回の事態が重なった。まず、燃料価格の安さがカザフスタンに移るきっかけとなったわけだが、老朽化した送電網はマイナーの突然の流入に耐えられなかった。国内のエネルギー消費量が急増したのだ。

政府の見解では、国内の発電量においてマイニングが占める割合は8%にもなるという。たび重なる停電に直面した政府は21年10月、登録されたマイナーへの電力の割り当て制度の開始と、送電網に負荷がかかった場合の送電停止を宣言した。

つまり、どんなによく見積もっても、マイニングが最も活発となる時間帯に施設の活動が止まってしまうのだ。厳しい冬を乗り切るために人々が暖房を使用するからである。「午後6時から11時の間、(電力会社から)わたしたちのマイニング施設への電力供給がストップすることがあります」と、マイニングのコロケーション(サーヴァーなどの共有)事業を展開するXiveの創業者のディダール・ベクバオフは言う。「これは明らかに問題です。冬の終わる3月には解決することを願っています」

一方で、「まったく活動できない」場合もあるとMaveric Groupのルシノヴィッチは語る。ルシノヴィッチによると、電源の喪失によるマイナーの損失は月に「数千万ドル」にもなるという。またベクバオフは、自分の“鉱山”は損益分岐点すれすれにあると語る。だが、利益の損失という点において、ほかにも問題はある。電力がストップすると、気象そのものがリスクになるのだ。

カザフスタンの氷点下の気候では、結露によってマシンがたちどころに凍ってしまい、ハードウェアが損傷する可能性がある。「気温が低い状態で(装置が)突然停止すると、カチコチに凍ってしまうのです」と、ベクバオフは説明する。そうした凍ったマシンを抗議活動の最中に守るため、多くのマイナーが安全策の強化に費用を投じたと、カザフスタンの国立ブロックチェーン・データセンター産業協会会長のアラン・ドルジエフは言う。「マイニング業界の経営者に話を聞いたところ、マイニング施設の安全性を高めていると話していました。装置はとても高価ですからね」

色々凄まじいな。

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